
機械式駐車場のメンテナンスや平面化における業者の選び方
安価というだけで選んではいけない理由
機械式駐車場の施工やメンテナンス、平面化する費用は業者によって大きな差が出ます。初期費用が極端に安い場合、施工不良などが起これば修繕や再施工となり結果的にコスト高となるだけではなく、メンテナンスでも安価というだけで業者を選んでしまうと故障や事故の発生にもつながります。なぜなら安価でサービスを提供する業者は価格を安くする分、使用鋼材を調整したり、経験の浅いスタッフが施工・修繕したりと、さまざまな方法で経費を減らしていると考えられ、結果として耐久性ばかりか安全性も低下する可能性があるからです。
また、安価な業者が法令などを十分に理解していない場合は、施工やメンテナンスの際に、消防法や建築基準法に違反してしまうことも。マンションの付帯設備である機械式駐車場に深刻なトラブルが起これば、マンションそのものの資産価値を下げることにもなりかねません。業者選びは、価格だけでなく経験や実績、信頼性、保証などアフターサービスも踏まえて総合的に検討することが大切です。
選ぶならメーカー系業者か独立系業者
機械式駐車場を取り扱う業者を選ぶ際には、機械式駐車場用の鋼材を製造し自社製品の設置やメンテナンスまで行うメーカー系業者、または設置・解体・メンテナンスを行う独立系業者、このどちらかを選ぶことをおすすめします。
その理由は、メーカー系業者と独立系業者以外は業務を下請けに依頼しているため、当然ながら価格に中間マージン分が上乗せされるからです。自社で施工やメンテナンスをしているのか、なかなか見えにくい部分ではありますが、中間マージンを取っている業者は価格にそれが反映されるので、まずは相見積りをとり、しっかり比較検討することが重要です。
ただ、自社で業務を完結できる業者であっても、業務の一部を下請けに依頼することは一概に悪いとは言えません。特に機械式駐車場のメンテナンス業務においては、故障した場合にできるだけ早く現場へ到着し修理するために、現場近くの協力会社に依頼する事例もあります。このように自社でカバーしきれない業務の一部を協力会社に依頼するというスタンスは、お客様にとっても有益となるケースもあるのです。
メーカー系業者・独立系業者のそれぞれの強みとは?
メーカー系業者は、自社の機械式駐車場であれば、施工・メンテナンスにおいても高い技術力を持っています。また、自社製品の在庫を保有しているためすぐに部品を取り寄せることができるというメリットもあります。しかし、一般的にメーカー系業者は、故障していなくても耐用年数で部品交換を行うなど現場に合わせた細かいニーズに応えることは難しく、費用が高くなる傾向にあります。
一方、独立系業者はさまざまなメーカーの製品を取り扱うため経験が豊富です。メーカー系業者より料金を安く設定しているので、近年ではメーカー系業者にメンテナンスを依頼していたマンションの管理組合が、修繕工事のタイミングで独立系業者に切り替えるというケースも増えています。独立系業者も耐用年数での部品交換を推奨しているものの、それぞれの現状を見極めながらコストを抑えた提案ができるのもメリットです。
また独立系のなかには、メーカーで廃番になった機械部品を自社で製造したり、機械に合うよう部品をカスタマイズするという高い技術力を持った業者もいます。メーカーから依頼され機械部品を製造することもあるそうですから、そんな信頼性の高い独立系業者ならより安心です。
こんな業者には注意しましょう
もし機械式駐車場の点検に来た業者をチェックする機会があれば、ぜひ次のポイントを見てください。機械式駐車場の点検は本来、駐車場の内部に入り作業するものです。したがって外から見ているだけ、自動運転を稼働させるだけでは点検したことにはなりません。また、実際に点検していないのに点検結果報告書を作成する業者もいますので、信頼できない業者を選んでしまうと、発注側は業者の仕事を監視する必要が出てきます。
ちなみに、よい業者は作業中でも器具や道具など自分たちが使用しているものは、きちんと片付けながら仕事をしますから現場が常にきれいです。どんな職業にも通じるポイントだと思いますが、丁寧な仕事をする業者は自分たちの商売道具を大切に扱うものです。
業界の適正価格について
近年、物価高やガソリンの値上げなど機械式駐車場を取り扱う業者の経費も増えていますから、社内努力を続けリーズナブルな価格を提供するにも限界があります。そのようななか、安価というだけで業者を選ぶお客様が増えれば、信頼性のない業者の増加にもつながってしまいます。その結果、みなさまの大切な命やお車を守れなくなれば、業界全体にとって大きなダメージとなります。
もちろん高ければいいというわけではなく、サービスの価値を適切に反映している価格であることや、施工やメンテナンスに一定の品質を求めることも大切です。安価な低品質業者を選んで失敗しないよう業者選びは慎重に行いましょう。